2013年9月20日(金)更新
第117回「貧血と漢方薬」
妊婦中に起こる貧血の多くは胎児によって鉄分が消費させられるために起こる鉄欠乏性貧血です。その場合には鉄剤の内服を行います。鉄剤だけでは治りにくい場合には当帰芍薬散、十全大補湯などの漢方薬を併用することで貧血の改善効果があると言われています。
特に当帰芍薬散は、妊娠中の貧血は循環血液量が増加する状態にあり、漢方の考えかたでは生理的水毒の状態にあるため、その改善に適していると考えています。
また鉄剤は内服した場合約半数の人で気持ちが悪くなったり、便秘を起こしたりといった何らかの胃腸障害が認められます。その場合、六君子湯や半夏瀉心湯を同時に投与を行うことで症状の改善に効果が期待できます。